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カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞

さきほど聞いたニュース「今年のノーベル文学賞は、カズオ・イシグロに決定!」


ここ数年、村上春樹がノーベル文学賞を受賞するかどうかで話題がもちきりだった。
でも、今年はそれほど騒がれず、熱も冷めたかと思っていたら、カズオ・イシグロが受賞。
カズオ・イシグロは日本人だが、5歳の時父親の転勤で、英国に渡り、英国で教育を受け、
今は英国国籍である。


私が、カズオ・イシグロを知ったのは、
yk2さんの記事 「NEVER LET ME GO ~ わたしを離さないで」 だった。


この記事を読んで、「面白そう!」と買い、ぐいぐい惹きつけられ、一気に読んだ。
そして、著者イシグロカズオに興味を持ち、「日の名残り」を文庫本で読んだ。
英国の老執事の物語で、第一次世界大戦後という時代を思い出しながら一人称で語られる。
言葉づかいも、執事を体現する丁寧な言葉。文章から英国の広大な屋敷が眼に浮かぶ。
屋敷の主ダーリントン卿は、平和を願い、世界戦争にならないようにと、英・仏・独の大使らを
招いての談義。同年輩の女中頭への想いも綴られる。

「日の名残り」は、映画化されていることを知り、DVDで見た。
アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンという演技に定評ある2人の主演で、原作より短く
なっているが、英国の風景が美しく、とても良かった。
Remains_of_the_day.jpg



「私を離さないで」も、本の発刊から数年後に映画化された。
期待して出かけたが、本のほうが良かった。
本は、かなり、自由にイメージを膨らませることが出来るので、私なりにイメージした世界や
景色があったのだが、それとは違っていた。



never let me go.jpg



カズオ・イシグロの文章は軽快でリズムがある。
彼は、本だけでなく、女性歌手ステーシー・ケントのために作詞もしている。
作詞では、おしゃれな架空の世界を作り上げている。たとえば、The Ice Hotelの歌詞は、
二人でアイスホテルへ出かけましょう。
カリブ海はもう予約でいっぱいだけど、それでもいいわ。

前はバルバドスやアンティグアのほうがずっと好みだったけれど、
今だったら北極でも二人に相応しいと思う。
二人ででかけましょう、アイスホテルへ。


きれいな澄んだ氷で築かれているの。ソファー、ロビー。
シャンデリアまで氷よ。
設定された気温は常にマイナス5度。
私たちのニーズにこれほど応えてくれる場所は他にないわ
二人で出かけましょう。アイスホテルへ。

(英語ではもっときれいです。日本語にすると、あまりよくないけど。。。)


ステーシー・ケントは、カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞にお祝いのメッセージを
送っている。→ 


カズオ・イシグロは、多作ではない。最新刊は、「忘れられた巨人」
アーサー王の時代の架空の世界。過去の物語というより読み終わると、普遍的な何かを、
未来に向かって何かを問うている気がした。
ステーシー・ケントのCDと並べて写真に撮ってみた。


K_Ishiguro.jpg


英国にいながら日本人の家庭で育ったことは、自分の物語作りに欠かせない要素だと、カズオ・イシグロ
は言っている。そのおかげで、周りのイギリス人とは違った視点で、世界を見ることができるようになったと。
「表面は穏やか、表面は抑制されているという、日本の芸術の長い伝統。表面の下に抑え込んだ
感情の方が、より激しいという感覚がある」とも語っている。

英国籍ではあるが、川端康成、大江健三郎に続く、日本の心を持った受賞者という面が伺える。


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