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エミール・ガレ展(生誕170周年) [展覧会(陶芸・デザイン等)]

サントリー美術館へ「エミール・ガレ展」を見に行った。
今年は、ガレの生誕170周年にあたるので、ガレ関連の催しの広告をよく見かける。

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ガレは、19世紀末から20世紀初頭のアールヌーヴォー期を代表するガラス陶芸作家。
その独創的な作品は、ガレ風なものとして、今でもいろいろな所で見かける。

ガレ作品をたくさん持っているサントリー美術館は、「ガレとジャポニズム」展を以前に
開催したが、今回は、オルセー美術館から借りた制作過程のデッサン画や家具を交えて、
ガレの作品を以下の①~⑤の5つの視点でとらえ直している。

①ガレと祖国
ガレは、フランス東部ロレーヌ地方ナンシーで、高級ガラス器陶器製造販売会社を営む家に生まれた。
父は、ナポレオン3世に食器を納める御用商人であった。ガレも父を手伝い、ガラス工場で
修業をし、デッサンを習い、デザインを始めた。

ガレが24歳の時、普仏戦争がおこり、ガレも義勇軍として参戦した。しかしフランスはドイツに
敗北、アルザス・ロレーヌ地方の一部を割譲した。ガレがガラスの修業をしたマイゼンタールの工場は
ドイツ領となってしまった。ガレの祖国へ愛はいっそう深まり、それが作品に表された。

デッサン画 「花器(フランス菊)」
フランス菊は、忍耐、寛容、、、を表す花。
このフランス菊にロレーヌ十字(十字を上下に重ねたもの)と、ナンシーの花、アザミをデザインした花器。
デッサン画とそこから生まれた花器を並べて見れるのが興味深かった。

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デッサン画 「花器(アザミ)」 故郷ナンシーの花アザミ。

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ゴブレット「ジャック・カロの人物画」1867年
ガレ21歳の作品。
中央に配置された絵柄は、ジャック・カロの銅版画シリーズ「小さな道化たち」からで、
左利きの辻ヴァイオリンニスト。帽子を被った道化とヴァイオリン、見えますか?
ジャック・カロはナンシーの上流階級の生まれ。人々の生活を鋭い観察で風刺して
銅版画に描いた。2014年に西洋美術館で「ジャック・カロ銅版画展」があった。
ガレが、同郷のカロの作品を多く用いたのも祖国愛からだろう。

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②ガレと異国
ガレの眼が異国に向けられたのは21歳の時。1867年パリ万博での経験だった。
ガレは万博に出品する父の手伝いで、半年間パリに滞在した。この時の万博は、
ジャポニズムが話題となり、ガレも多くのインスピレーションを得た。

1878年の万博にガレが出品したのは、花器「バッタ」
酸化コバルトで発色した「月光ガラス」を発表して、その美しさが評判になった。
バッタや菊などが金彩風に絵付けされ、日本美術の影響が伺える。
口縁部には、イスラムを意識した唐草模様。
前回の万博で吸収したものを使った異国的な要素が高い作品。

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ジャポニズムからインスパイア―された瓢形植込鉢「鯉」1880年
瓢箪形で、側面は節のある竹の装飾、底には鯉が描かれている。
細い線はおたまじゃくし?
エジプトも万博で注目されていたので、ガレはこちらからもヒントを得て、
鳩の顔がエジプト風に描かれた植込み鉢「鳩」。胴の部分には日本美術からの
流水紋、笹竹紋などが描かれている。
その他、イスラム、中国の影響と思われるものがあった。

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③ガレと植物学
ガレは母の影響で幼少期から植物に深い愛を持ち、植物採集で有名な植物学の
教授と知り合い、植物学に没頭していった。自宅の庭には2000種以上の植物が
栽培され、花の絵はボタニカル・アートとして成り立つほど緻密である。

習作「アイリス」 花瓶「アイリス」
ジャーマン・アイリスのつぼみの形を花器に見立て、花模様を装飾した作品。
くすんだ緑色のガラスを被せた素地に茶色、紫、明るい緑など幾種類もの色ガラスが
筋状に練り込まれている。上にアイリスの花が白や紫で象嵌され彫がなされている。
ブロンズ製の台もアイリスの形。凝った作品ですばらしい。

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白い大輪の蘭の花がこぼれ落ちそうな「氷の花」は、「ガレとジャポニズム展」で見て
印象に残っている壺型の花器。

④ガレと生物学
植物を愛したガレは、花と共に生きる生物、昆虫も愛し、模様に取り入れた。
蜻蛉、蝉、蝶、カエル、海洋生物などがモチーフとなった。

昼顔形花器「蛾」 1900年
白い昼顔の花に、茶と紫色の羽根の蛾がとまる様子をそのまま描いている。
白い半透明のガラスは、花弁の筋が浮き上がって見えるほどである。
マルケトリー(ガラス象嵌)で蛾は精密に描かれ、白い昼顔との対比が美しい。
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⑤ガレと文学
ガレは学生時代にいろいろな言語を勉強し、神話の世界にも詳しかった。
文学好きでもあったので、自分の作品に詩文を描くようになった。

栓付瓶「葡萄」1900年
全体が葡萄のモチーフになっている栓付きのワインボトル。
胴部には葡萄の葉と蔦の模様が彫られ、色とりどりの半球状の葡萄の実が着いている。
ボードレールの詩集「悪の華」からの「毒」の一節が彫られている。
「葡萄酒はどんな汚れたあばら屋をも豪華な姿に装わせ、赤く金色に光る靄の中に、
幾つもの架空の柱廊を出現させる、、、、」

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「過ぎ去りし苦しみの葉」というメーテルリンクの銘文が刻まれた壺「枯葉」の
ガラス器に見えない風合いは「ガレとジャポニズム展」で見て(写真あり)印象に
残っていたが、今回、また見ることができた。

⑥ガレと究極
ガレは観察したこと、自ら感じたことを表現するために、様々な方法を考えた。
ガラスは美しいだけでなく何かを語るものだった。ガレはガラスの透明性を故意に失速
させる「パチネ」という技術を開発し、特許をとった。

ランプ「ひとよ茸」1902年頃
ひとよ茸は数日間で成長し、夜に笠を開き、一夜のうちに柄だけを残して溶けてしまうもの。
錬鉄製の台座は、森の木々を表している。一夜だけと言う命が自然の摂理、人生の輪廻を
表している。ぼんやりと灯るランプの姿が薄暗い森を思わせる。

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脚付き杯「蜻蛉」 1903年~4年 (写真は「ガレとジャポニズム展」参照)
大理石の輝きを持つマーブルガラスに化石のように蜻蛉を閉じ込めている。
ガレの最後の作品。死を予期したガレは、このモデルを数点造り、親しい友人や親戚に
贈った。はかない命の蜻蛉は自分を象徴するものだったのだろうか。


PARIS オートクチュール展 [展覧会(陶芸・デザイン等)]

「PARIS オートクチュール展」を三菱一号館に見に行った。
これは、パリの市庁舎で開催された「オートクチュールの歴史展」をこの会場に
合わせて再構成したもの。   (5月22日まで開催)
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オートクチュールは、高級な注文服のことで、19世紀後半のパリでシャルル・ウォルトが始めた、
チラシに使われている衣擦れの音が聞こえそうな豪華な「ジャガード生地のドレスと金ラメ入りニット
のアンサンブル」は、クリスチャン・ラクロワがウォルト偲んで1991年に発表したもの。
つまり、「これぞオートクチュール」というものでしょう。

会場、はいってすぐは、ウォルトのコーナー。赤に黒の大胆な刺繍のあるケープ。
夜会服の上にはおっていたのでしょうね。同じくウォルト作の毛皮のマフとストール。
喪服もあったが、とっても細いウェスト。コルセットの時代。

ポール・ポワレのイヴニングドレスは、すとーんとした直線的な身体を締め付けないもの。
当時、脚光を浴びて人気があったのもわかる。ラウル・デュフィはポワレのデザイン画を
描いたりもしていたが、ここでは彩色した木版画によるお店用レターヘッド。

扇子、香水、ハンドバッグ、帽子など、どれも手のこんだ豪華な手仕事の品。

次の部屋は撮影OKだったので、スマホで写真を撮る人が大勢。

今でも着れそうなのが、ジャン・パトゥのジャケットとドレスのアンサンブル。1939年
重量感あるビーズ刺繍。照明でキラキラしていた。
後ろに見えている背中が大きくあいたドレスが、グレのイヴニング。1934年。

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黒のドレスばかりの中で、目立ってたいたのが、ゴルチエの「青い鳥」2006年。
グレへのオマージュの作品。グレはプリーツが得意だったので、プリーツを使っている。

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バレンシアガ、スキャパレリと知ってる名前のドレスが出た後は、ディオールのドレスが続々現れた。
左は2014年、右は1952年。

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ヘップヴァーンが「ローマの休日」で来てたような王女様ドレス。

友達と、「昔これ、あったわよね!」と顔を見合わせたのが、ピエール・カルダンのドレス「的」。
白地にジャスパー・ジョーンズの「弓矢の的」のような大胆な柄。元祖日本人モデル松本弘子
が着て雑誌に出たそう。

シャネルだが、デザイナーはカール・ラガーフェルト。1995年
スーツのように見えるがワンピース。

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駝鳥の羽根を緑にそめたものとピンクのシルクタフタのバラのコサージュつき。
とろりとした絹地に、真珠やビーズで刺繍があしらわれ豪華。

バレンシアガ 「イヴニング・ドレスとペティコートのアンサンブル」1967 年
シルクの光沢。美しいピンク。オストリッチの羽根が使われている。
しかし、私にはマタニティドレスのように見えてしまう。

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キャサリン妃のウェディングドレスを担当したアレキサンダー・マッキーンのパンツスーツは、
地味なジャケットの裾に柄物スカーフがついたような奇抜なデザイン。「これなら着れる」と
友達が言うが、私は遠慮しておく(笑)

ドレスは、オートクチュールよりも安く簡単に手に入るプレタポルテ時代になり、メゾンの数は
激減したそうだ。そんな時代だからこそ、モードの歴史の展覧会が大切なのだろう。
この展覧会を企画したオリヴィエ・サイヤール氏は、2011年にブルーデル美術館で開催した
「マダム・グレ展」が評判になったことで、今回、抜擢されたそうだ。

オートクチュールでいちやく有名になったパリだから、「モード美術館」があり、いつでも
服のファッションの流れを見ることができる。また時々、興味ある企画展も開かれている。
2004年に見た「ディトリヒ映画衣装展」もよかったし、ランヴァンの展覧会もよかった。
パリに旅行のかたにオススメ。


宮川香山展(サントリー美術館) [展覧会(陶芸・デザイン等)]

没後100年・宮川香山展を見にサントリー美術館へ行った。
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宮川香山(1842~1916)の没後100年を記念する回顧展。
香山は明治から大正時代にかけての陶芸家で、「眞葛焼」という陶器の表面に
浮彫で装飾をした独創的な作品を発表した。これらが、フィラデルフィア万博や
パリ万博で紹介されると、称賛を浴び海外で人気を集めた。
後に香山は、輸出先のヨーロッパの趣向の変化に応じ、釉薬の研究を進め、
釉下彩磁の作品を次々に発表、帝室技芸員に選ばれ、作品は重要文化財に
指定された。明治時代の傑出した陶芸家である。

私が、初めて宮川香山の作品を見たのは、2008年の「ガレとジャポニズム展」の時だった
と思う。ガラスの表面に、カエルやトンボなどの装飾が施されたガレの花器や器の展示の
最後に、置物のようなカニがついた陶器の鉢があり、それが、宮川香山の作品だった。
非常に繊細な細工だが、愛らしさがあるカニ。そして陶器自体の重量感。強く印象に残った。

今回の展覧会会場、入ってすぐ、一番目立つ場所にあったのが、
「高取釉高浮彫蟹花瓶」 大正5年(1916) 田邊哲人コレクション

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(拡大図)

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すばらしい!
爪の青や赤が、照明に照らされ、宝石のように輝いている。
配色の見事さは、カニの甲羅のブツブツの斑点と調和している。
硬さが伝わってくるようなカニの甲羅。そしてかわいい眼。
横から見ると、カニは二匹、親子のように重なりあっているのがわかる。

私が以前に見たのは、同じような造形だったけど、カニの脚、爪が黒っぽい色
、地味だった。しかし、これは鮮やか。
帰って来て、図録を見たら、見覚えがある「茶っぽい甲羅で黒っぽい脚」の写真があった。
「褐釉高浮彫蟹花瓶」1881年、重要文化財、東京国立博物館所蔵。大阪会場でのみ展示。
ということは、大阪では2つの「高浮彫蟹花瓶」が見れるのね。


私の記憶は風化されていた。赤と青の爪の蟹が「ガレ展」で見たもので、その後、東京博物館で、
黒い爪のを見たので、赤と青のの記憶が飛んでしまったのだった。

会場には、「高浮彫」を施した作品がずらりと並んでいた。
特に鳥たちの浮彫は、ほんものそっくりで、迫真に迫るものがあった。


「高浮彫岩滝ニ鷹花瓶」 明治時代前期 田邊哲人コレクション
大きく羽を広げた鷹が滝を覗きこむ。崖にはうっすらと粉雪。

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高浮彫葛ニ山鴫花瓶」 明治時代前期 田邊哲人コレクション
上の鷹に比べるとおとなしい図柄。秋、葛の葉の季節。鴫の羽根が実に丁寧に
描きこまれ剥製のよう。

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チラシの写真の猫、びっくりしたような顔をしてるのはなぜ?と思ったら、日光東照宮の
「牡丹に眠り猫」の猫が眼を覚ましたところ、という想定だそう。左甚五郎に倣ってか、
猫は丸彫り。歯や足裏の肉球まで緻密に再現。水指の牡丹も精緻で素晴らしい。

今回は、写真撮影可のコーナーがあった。

「高浮彫桜二群鳩大花瓶」 明治時代前期 田邊哲人コレクション
一対だが、写真はひとつだけ。

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「高浮彫四窓遊蛙獅子鈕蓋付壺」明治時代前期 田邊哲人コレクション
これも写真には一つしか映ってないが一対。
中央をくぼませ、そこに太鼓を持ったカエルを配置。なかなかユーモラス。
(もっと、鮮明な写真は、yk2さん記事をごらんください

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会場は4階と3階の2フロア。4階が高浮彫で、3階は「釉下彩」

香山はヨーロッパの趣向の変化に応じ、窯を二代香山に継がせ、自身は制作を陶器から
磁器へ転換。釉下絵の研究をしながら、「釉下彩」(ゆうかさい)という新しい作品を発表した。
高浮彫に比べると、可憐でシンプル。エレガント。私は、高浮彫よりも、こちらの方が好きだ。

はいってすぐ、中央のガラスケースに入って、人目をひくのが、
「釉下彩盛絵杜若図花瓶」 明治時代中期~後期 田邊哲人コレクション
薄紫色の地に紫と白の杜若(かきつばた)。花弁が重なるようすを彫り出して立体的に
表現。葉の勢いの良さと優しい花との対比に唸ってしまう。
大きい花瓶。

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こちらは、細く華奢な花瓶。ガレふうの形。
黄地青華朝顔図花瓶 明治時代中期~後期 田邊哲人コレクション
黄色い「釉下彩」」の下地だが、上から下へと色が薄くなっている。
朝顔は花の部分だけ貼花で僅かに盛り上がっている。
斬新な絵付け

右は「釉下彩白藤図瓜型花瓶」 明治時代中期~後期 田邊哲人コレクション
これもアールヌーヴォーっぽい作品。浮彫の白い藤の花は藤色の背景に映える。
緑色の葉が肩にあるので、藤棚のようにも見える。

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「色嵌釉紫陽花図花瓶」 明治時代後期~大正時代初期 田邊哲人コレクション
首のない形の器。グレー地に白い紫陽花の花。はりめぐらされた花の枝が、
アールヌーヴォーのよう。葉は緑の濃淡で、表と裏を表している。

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「釉下彩紫陽花図花瓶」 明治30年(1897) 田邊哲人コレクション
薄紫色の地に紫陽花。白い紫陽花の花の部分は透彫になっている。
盛り上がるほどの立体感ですばらしい。

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今回の展示品のほとんど全部と言っていいほどが、「田邊哲人コレクション」。
田邊氏の香山コレクションは、質・量共に世界一なのだそう。

いつもサントリー美術館の展覧会は、だいたい1時間~1時間半で見れるので、
6時の閉館に合わせて、4時半に入った。ところが、高浮彫は立体なので全方位から
眺めたい。「どんなふうに工夫してあるのだろう?」
あっという間に時間が経ち、好きな「釉下彩」は、さらっとしか見れなかった。
行きたいと言ってる友だちがいるので、来週、もう一度、行くことにした。

☆ 宮川香山に関しては、yk2さんの「ハマヤキ故郷へ帰る」明治の輸出食器という
展覧会記事が、わかりやすい説明で、写真が綺麗なので、おすすめです。


根津・青山の至宝展 [展覧会(陶芸・デザイン等)]

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根津美術館で開催中の「根津青山の至宝」展に行った。
根津美術館は、東武鉄道の社長であり実業家であった初代根津嘉一郎氏の
邸宅跡に作られた氏のコレクションを展示するための美術館。

今回の展覧会は、お茶道具が中心。
根津氏は号を青山といい、財界人たちと茶会を楽しんだ。当時の財界人たちは、
茶会で仕事のこと、趣味のことなどを語らった。そんな当時の茶会の様子を
8ミリ映写機で映していた。

根津氏のコレクションは、「書」から始まったので、第一室に、書。別部屋には、
奈良時代の古いお経の「写経」がずらりと並び、いずれも国宝や重文。
「書」は、読めないので、きれいなきちんとした字だなぁというだけで。。
いつになったら読めるのか。

国宝「那智の滝図」鎌倉時代、13~14世紀。
縦長の画面を使って、崖から流れ落ちる滝の全景を描いている。
滝の水の白さが神々しい。

国宝「鶉図」 伝 李安忠 南宋時代 12~13世紀
うちわのような形の茶色の画面(絹本)。赤い実のなったクコの脇に1羽の鶉がたたずむ。
羽根が明瞭に描かれ、胸の毛の白さが目立つ。かなり太っている鶉。宋代花鳥画の名品
として、足利将軍家の所蔵であった。


室町時代15世紀の「花白河蒔絵硯箱」
満開の桜の下に公達を描き、幹に花・白・河の隠し文字が描かれている。
これも足利将軍家の所蔵であった。
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重文:雨漏茶碗、朝鮮時代 16世紀
使っているうちに釉に滲みが現れたので、雨漏りにたとえて名付けられたそうだ。
いびつな危うさ、しかし美しい、それゆえ珍重されたのだろうか。

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重文:「青井戸茶碗 銘 柴田」 朝鮮時代 16世紀 
青井戸とは、釉が青色がかったものをさすのだが、実際は青くないものも多い。
織田信長から柴田勝家が拝領したことから、「柴田」の銘がある。
中央に見える「かすがい」は、ひび割れを修理した金継ぎ。

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根津美術館は、お茶室が点在するお庭が日本情緒豊かなので、外人に喜ばれる。
この日も大勢の観光客がいた。
まだ紅葉が始まっていなかったが、もう2週間もすれば、緑の葉も色づき、日本庭園
の趣もさらなり、だろう。


「曜変天目茶碗と日本の美」展 [展覧会(陶芸・デザイン等)]

サントリー美術館で開催中の「藤田美術館の至宝、曜変天目茶碗と日本の美」、
とても良い展覧会です。

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「曜変天目」というお茶の茶碗を御存じですか?
天目茶碗とは、鉄釉をかけて焼いた茶碗で、鉄分で黒い色になっている。
中でも、曜変天目というのは、南宋時代、中国で焼かれたもので、内側に星の
ように見える斑紋が散らばり、角度によって虹色に光り輝く。
現存するのは、世界中に3個だけで、京都の大徳寺、大阪の藤田美術館、
東京の静嘉堂文庫が所蔵、どれも国宝に指定されている。

今回、藤田美術館の「曜変天目」を見ることができるので、わくわくして出かけた。
会場は、照明が上手で、実際、茶碗の中の模様がキラキラ輝いているのが容易に
確認できる。期待に違わぬ美しさだった。(チラシの写真参照)

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まさに、天下の名椀だった。
静嘉堂文庫のを以前、見に行ったのだが、常時公開ではなく、見れなかった。
静嘉堂は現在、補修工事で休館中だが、10月31日から、琳派展が始まり、
その期間、曜変天目も展示される。

お茶の茶碗の国宝は他に2つあり、いずれも光悦作。三井記念美術館の
「志野卯花がき」(垣根もよう)と、サンリツ美術館の「白楽茶碗不二山」。
2つとも見たが、いつまでも印象に残る美しさだ。


展覧会のタイトルは、「曜変天目と日本の美」なので、仏像、絵画、皿、茶道具などの
展示品もすばらしい。
写真では、惹きつけられないと思うが、小ぶりながら色鮮やかな仏像に見入ってしまう。
特に着衣の表現がみごと。袈裟の部分には截金が施されている。
地蔵菩薩立像(重要文化財) 快慶作 鎌倉時代  

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国宝 仏功徳蒔絵経箱 平安時代
「法華経」の説話をもとに描かれた絵が四方を囲んでいる。

国宝 紫式部日記絵詞

国宝 玄奘三蔵絵

国宝が、ずらっとある。藤田美術館の財力たるや。
関西の実業家、藤田傳三郎氏は、廃仏毀釈運動による文化財の破壊や
海外流出を防ぐために、仏画や仏像などの収集を始めた。美術品、茶道具にも
関心があったので、それらも積極的に収集し、コレクションを息子が受け継いだ。
(椿山荘は藤田氏の東京別邸だったので、藤田観光が受け継いでいる)


展示品で、印象に残ったものは、
錆絵、角皿十枚 (尾形乾山作、尾形光琳画)

お茶道具では、交趾大亀香合  明~清時代 17世紀
交趾とは、ベトナムの地方名。ベトナムとの交易でもたらされた品。

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「田村文琳茶入」 宋~明時代 13~15世紀
文琳とはリンゴのことで、リンゴのような丸い形のお茶入れ。

御所丸黒刷毛茶碗 銘 夕陽(重要文化財) 17世紀 朝鮮
黒地に刷毛で白い丸を描いたような模様、いびつにも見える形。

鴨形香合  野々村仁清作 江戸時代

ノンコウ、変な名前と思ったら、楽焼きの楽家の三代目の愛称だそうだ。

時代順の展示で、最後には、近代日本画家の長沢蘆雪、竹内栖鳳の絵もあり、
見応えのある展覧会だった。

会期はあとわずか。27日までです。


着想のマエストロ 乾山見参(サントリー美術館) [展覧会(陶芸・デザイン等)]

サントリー美術館で開催中の尾形乾山に着目した展覧会へ行った。
乾山は尾形光琳の弟で、京都の裕福な呉服商の三男として生まれ、野々村仁清
につき、陶芸を学び、乾山窯を開いた。
本阿弥光悦や楽焼きの楽家とも血縁関係がある尾形家。恵まれた環境に育った
乾山の美意識や文学的素養は、作陶の世界で独自のスタイルを生み出した。
それが「着想のマエストロ」という展覧会のタイトルなのだろう。

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乾山の特徴ともいえる絵画のような角皿は、「皿に絵付けをするのでなく、
絵を皿に描く」、という発想に基づいている。

●「色絵定家詠十二ケ月和歌花鳥図角皿」の「一月」(1702年) (MOA美術館)
狩野探幽の絵「柳にウグイス」を写したもので、皿の裏には、乾山の書で藤原定家
の歌が書いてある。自分独自のモチーフでなく、狩野派の絵を真似、裏に書。
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●色絵桔梗文盃台(18世紀) (MIHO MUSEUM)
盃台の花びらが横から見ても垂れ下がらず、水平である。
焼くときに支柱を使うそうだ。これを底から見たものがチラシに使われている。

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●菊の模様の盃台「色絵菊文透盃台」(サントリー美術館)は、鮮やかな色で豪華。
桔梗の色合いとは対照的。私は、桔梗のほうが好きだけど。


●光琳が絵を描いた兄弟のコラボ作品
「さび絵牡丹図角皿」 (MIHO MUSEUM)
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●中国山水画風のコラボ作品、光琳画、乾山作。
「さび絵山水文四方火入」 (大和文華館)

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●乾山は、舶来ものを好む客のために、中国やヨーロッパの陶磁器のモチーフ
を取り入れた作品も制作した。これはオランダのデルフト焼き。
「色絵阿蘭陀写花卉文八角向付」 (出光美術館)

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●「白泥染付金彩芒文蓋物」 18世紀 (重要文化財) サントリー美術館
琳派の絵をいくつか見ていると、蓋の部分の絵柄は「芒(すすき)」とわかる。
これは「武蔵野」を表しているそうだ。内側、入れ物の方は染付で「業平菱」
つまり、伊勢物語の「東下り」を意識したデザイン。文人の乾山ならでは、だろう。

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●「色絵菊図向付」 18世紀 (五島美術館)
菊の花の小皿。単純化した菊の花は、「乾山菊」という名前でモチーフとして、
他のものにも使われている。花びらに沿って形が作られているのがすばらしい。
裏面(左下)に大きく「乾山」と窯の名前を入れている。
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●紅葉型で、立田川模様の赤が美しい向付揃い(大和文華館)もあった。
一枚、一枚の絵柄が違っているので、食べ終わったあと、それらを眺める楽しみ
があったと思う。

●竜田川模様の反鉢は、出光美術館蔵で、たびたび見た作品だが、何回、
見てもすばらしい。水の流れの見込みと胴の部分がつながって見え、赤と緑の
もみじが心地よく配置され、乾山の作品の中で、私はこれが一番好きだ。

着想のマエストロというネーミング通り、次から次へといろいろなタイプが
出て来て、面白かった。興味尽きずに見ていたら閉館時間になってしまった。
1時間半位見ていたのかしら。ゆっくりと器の使い方、どの器に何を入れたら、
まで考えていたら、もっと時間がかかるだろう。

追記:
乾山の角皿は、パリのギメ美術館(東洋美術専門美術館)にもありました。
http://taekoparis.blog.so-net.ne.jp/2009-03-08


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