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ポンピドーセンターの作品1920年~抽象へ [外国の美術館、博物館]

前回の1906年から1914年は、フォービスムからキュビスムへの時代だった。
1914年に第一次世界大戦が始まり、画家たちの中には徴兵される者もいたが、
大戦は1919年に終わった。

大戦後、ドイツのオットー・ディクスは辛辣な風刺で戦後の社会を描いた。
「ブリュッセルの飾り窓の思い出」1920年
ドイツの将校が敵国フランスのシャンパンを飲み、酔って赤い顔で金髪の
売春婦と一緒にいる。キュビズム技法でガラスに映る様子も描いている。

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フェルナン・レジェの「ふたりの女性」1922年
幾何学的に描かれた人体だが、大らかで明るく、素朴なイメージ。
「ふたりの女性」というタイトルだから、母と子ではないのだろう。
黒髪の対称性、スカートの色の対比が背景の事物と違和感なく、戦後の
明るい雰囲気を出している。

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ホアン・ミロ「室内(農婦)」1922~23年
ミロの具象最後の作品。この後、私達に馴染みのあるミロスタイルになる。
農婦の足の大きいこと!お座り猫の威嚇っぽい表情が何とも。。
農婦がぶら下げているのはウサギ。漫画っぽい表情のウサギ。

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パブロ・ピカソ「アルルカン(アルルカンに扮する画家サルバード)」 1923年
ピカソは、生涯アルルカン(ピエロ)の絵を何枚も描いている。
喜劇を演じるアルルカンの裏にある孤独、憂欝、脆さをアーティストの自分に
重ねて、年代ごとに描いた。
ピカソはアルルカンの衣装を持ってて、それをサルバードに着せて描いた。
同じこの衣装で、サルバードはアンドレ・ドランのモデルにもなった。
この絵は、非常に丁寧なデッサンで、ダビッド、アングル風の古典的技法で
描かれている。

GP9Picasso_Arurucan.jpg


ポンピドーセンターには、絵画だけでなく、デザインされた椅子や小さな彫刻
も展示されている。
下の写真の椅子は、ドイツで始まった近代的デザイン運動「バウハウス」の作品。
バウハウスのデザインポリシーは合理主義。簡潔で幾何学的なデザインは、
装飾が多いアール・ヌーヴォーへの反発でもある。
手前2つは、ミース・ファン・デル・ローエの椅子 1927年
籐とパイプを組み合わせた軽い機能的な椅子。
奥の木製学校椅子タイプは、マルセル・ブロイヤーの椅子 1922年

GP14Chaises.jpg

奥の方の机の上に乗っているのが、小さな彫刻たち。
手前、綺麗な色の作品2つは、ドローネーだと思う。

GP.jpg

絵画を幾何学的な方向に進めた作品。
ロシアン・アヴァンギャルドのアントワーヌ・ペヴスナー「コンポジション(構成)」1923年
後にペヴスナーは、幾何学的な彫刻で有名になった。「平和の柱」1954年

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フランティシェク・クプカのこの大きな作品にも目を引きつけられた。

GP12.jpg

イヴ・タンギー「夏の4時に、希望」1929年
砂漠のような空間に骨や石が落ちている絵、という印象のタンギー。
ここでも何かが陸に落ちていて、海の上を不思議な鳥が飛ぶ。
タンギーは、見えるものではなく、無意識に感じるものを描くシュルレアリスム
画家なので、難解だが、色合いはパステル調でふんわりしていることが多い。

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ジャン・デビュッフェ「幸せな田園風景」1944年
児童画とよばれる領域である。のどかさは伝わるが。。。

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ジャクソン・ポロック「深淵」1953年
絵筆を持って絵を描くのでなく、刷毛で空中から絵の具を流し込むドリッピング
という技法も出て来た。めちゃめちゃに流すのではなく、計算して流しているのだそう。
ポロックの作品には、数学的なフラクタクル効果が表れているので、天才的な勘で、
作品構成をわかっていたといえよう。

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セザール「圧縮」1958年
セザールはフランスの彫刻家で、このプレス機で圧縮した自動車の作品で
有名になった。これは、1960~70年の大量生産・消費社会に対するアンチテーゼ。
単なるスクラップと思う人もいるだろう。

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アルマンワーテルローのショパン」1962年
アルマンは何でも箱に閉じ込めてしまう作品で有名になった。

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最後は、ルチオ・フォンタナ「La Fine di Dio」1963年
画布に穴を開けただけの作品だが、空間を開けることによって芸術に新しい次元を
見出し、宇宙に結び付くことを願ってるのだそう。
真っ赤に塗られた画布の縦方向に、3本のかぎ裂きのような裂け目を入れた
作品も有名。

GP39FontanaS.jpg

過去のポンピドーセンター作品記事は、2014年春の展示、 2008年冬の展示

                 2008年冬の展示のキュビスム  2008年春の展示 


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ポンピドーセンターの1906年から1914年の絵画 [外国の美術館、博物館]

ポンピドー・センターは、フランスの現代美術館。
1905年から1965年までの20世紀の美術品を見ることができる。
(ルーヴルは中世の絵画、オルセーは近代の絵画(1905年まで)と年代的に
分けられて、収蔵されている。)

常設展示は5階だが、数年毎に大きく入れ替わる。
今回は、入ってすぐがマチスの「黒猫と少女(マルゲリータ)」1910年。
少女の強い瞳に吸い寄せられ、膝の黒猫を見落としてしまいそうになる。

GP1Matisse.jpg

次のコーナーからは、フォービスム作品が続き、明るい色合い。
ブラックの「レスタック」L'Estaque 1906年
レスタックはマルセイユに近い小さな漁村で、多くの印象派の画家がここで絵を描いた。
ブラックというと、キュビズムの印象が強いが、キュビズムになる前は、フォーブで
こんな明るい色彩の可愛らしい絵を描いていた。

GP2Blaque.jpg

セザンヌは戦争の間、レスタックに住み、何枚もの風景画を残している。
ブラックはセザンヌに影響を受け、後に、フォーブの表現よりも、事物を単純な形で
表すキュビスムを創造した。

1906年当時、デュフィも明るい色彩表現。
「トゥールヴィルの広告板」
佐伯祐三もパリの広告板をいくつも描いていたのを思い出す。

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アンドレ・ドランの「タミーズ河岸」Les Quais de la Tamise 1906年
シニャックの点描の影響も見られる。

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ここからは、風景画でなく、人物画。
顔に添えられた強烈な色彩に目が行ってしまう。

ソニア・ドローネーの「眠る女性」1907年
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ピカソの「女性の上半身」 1907年
単純な形での表現が見られる。

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クプカの「黄色の連続的変化」1907年
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ローランサンの「アポリネールとその仲間たち」1909年
かなり大きな絵。
詩人アポリネールは、当時の文壇の実力者。「キュビスム」を理論的に先導し、
彼に多くの人が賛同した。絵の中央にいるのがアポリネールで、彼の周りに
、ピカソ、ガートルード・スタイン、ピカソのミューズの詩人、そしてローランサン
自身もピアノの前にいる。アポリネールはローランサンの恋人だった。
キュビスム的手法で、円形を多用した絵。
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ロシアの画家ナターリア・ゴンチャローワの「収穫物を運ぶ女たち」1911年。
当時ロシアでは、ロシアン・アバンギャルドという自国の芸術を大切にする
運動があり、素朴な民衆や労働をテーマにした絵が多かった。
この絵も、大地にしっかり足をつけ、素朴でたくましい女性たちを描いてる。

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同じ年、1911年のシャガール「ロシアとロバとその他のもの」
シャガールは、ロシアで生まれ、美術教育を受け、23才の時(1910年)パリに来た。
時代の波を受け、フォーブ、キュビスムの影響を受けた絵を描く。
この絵も、雌牛と手桶を持った農婦に幾何学的なものが見られ、色合いは青や緑の
強い色彩。下の方に、ロシアをイメージするロシア正教会が描かれている。
どこにロバ?ロバは平和な労働者を意味するのだそう。
首が飛んでいるのに驚くが、これは夢見ていることを示してるのだそう。

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エミール・ノルデの「踊る人たちの絵がある静物画」1914年
ノルデはドイツ表現派の画家。(エミール・ノルデ展の記事

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マティスの「金魚鉢のある室内」 1914年
GP0203Matisse.jpg

この後、1920年代の絵画は次回に。


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バルベリーニ美術館(ローマ) [外国の美術館、博物館]

 毎日、暑いですね[晴れ]
3年前に行ったローマが記録的な暑さだったことを思い出します。
バルベリーニ美術館の記事が下書きにはいったまま、随分時間が経って
しまったけれど、載せますね。

バルベリーニ美術館は、ローマ教皇を輩出したバルベリーニ家の館で、
17世紀に建てられたバロック様式の宮殿。  (私が行ったのは2012年夏)
この建物の門は、重厚なので、映画「ローマの休日」でアン王女が滞在
する某国大使館の門として使用された。

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この美術館は、イタリア国立古典絵画館で、ラファエロの「ラ・フォルナリーナ」、
カラヴァッジョ3点、グイド・レーニ、フィリッポ・リッピなどイタリア人画家の作品を
揃えている。
ボルゲーゼ美術館は、予約しないと入れないのだが、ここは大丈夫。

美術館の入り口を示しているのは、ラファエロの「ラ・フォルナリーナ」の垂れ幕。
館内案内のパンフも、ラ・フォルナリーナ。
ラ・フォルナリーナは、ラファエロの恋人で、フォルナリーナとはパン屋の娘。

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美術館内は撮影禁止なので作品はポストカード。
部屋は時代順になっている。

フィリッポ・リッピ「タルクィニアの聖母」
リッピ初期の作品。玉座の生母。
いつもリッピの描く聖母は優雅で美しく、赤ちゃんはまんまる顔。
モデルは妻と息子フィリピーノ

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フリック・コレクションで見て以来、気に入っているブロンズィーノ。
一目で「ブロンズィーノ!」とわかる冷たく研ぎ澄まされた美しい肖像画。
「コロンナ家のステファノ4世」
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こちらも、「ヘンリー8世!」とすぐわかるホルバイン作品。
衣装が豪華。

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カラヴァッジョ「ナルシス」
ナルシストの語源であるナルシス。水に映る自分の姿に惚れ込み微動だにしない。
カラバッジョ独特の明暗で、劇的な効果を出している。
見ていると、吸い込まれそうになる絵。
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カラヴァッジョ「聖フランシスコ」
聖フランシスコは、イタリアの守護神。両手で持った頭蓋骨をじっと見つめている。
死について考えているのだろう。
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カラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユーディット」。
非常に残酷なシーン。かわいらしいユーディットが顔をしかめて、酒に
酔わせて眠らせた敵の大将ホロフェルネスの首を切ろうとする場面。
ホロフェルネスの「殺すのか!」という驚きの顔。それを固唾をのんで
見つめる老婆の表情。緊迫感にあふれている。

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カラヴァッジョのあとには、美しい少女
グイド・レーニ「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」
気品のある美しさ。白のこの服は?気になって調べたら、これは囚人服。
チェンチ家は貴族なのだが、父親の家庭内暴力がひどかったため、ベアトリーチェは
家族を守るため、父を殺した。そのため処刑になったのだそう。この微笑は、死の直前
の無欲の表情なのだろう。
guideReni.jpg

クエンティン・マセイス「ロッテルダムのエラスムス」
マセイスは、今年のルーヴル展で見た「両替商とその妻」を描いた人。
思想家エラスムスと両替商に共通点を見つけようとしてはいけないけど、
似たところがある?

maseisErasumus.jpg

他にも、良い絵がたくさんあった。
私が行ったときは、とてもすいていて、どの部屋もひとりでの鑑賞、ぜいたくだった。
特にカラヴァッジョの「ナルシス」と静かに向き合えたのが印象に残っている。


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メトロポリタン美術館のフランス絵画1874~1923 [外国の美術館、博物館]

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ヨーロッパ絵画の所では、「レンブラントとドガの若い頃の自画像」という特別展示が
開催されていた。美術館内は撮影OKだが、ここの部分だけは禁止だった。

レンブラントは生涯に85枚もの肖像画を描いた。ドガ(1834~1917)は40枚。
その大半は、20代の初めに描かれたが、秘密にしていたため、亡くなるまで、
わからなかった。20代初めにイタリアに留学したドガは、レンブラントを筆頭に
過去の巨匠の絵を学んだ。「紫色の帽子をかぶった若い男~レンブラントに倣う」という
タイトルのデッサンは、帽子や髪型、服が220年前の巨匠レンブラントにそっくりである。

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レンブラントとドガ、それぞれの肖像画が展示され、両者を比較した解説があった。
光の効果や技法が似ていても、二人は全く顔立ちが違うので、似ていると書いて
あっても、私には、すぐ納得できなかった。


19世紀後半、印象派がおこった頃からのフランス絵画を、絵が描かれた年代順に
載せてみた。

①マネ(1832~1883)
1874年 「舟遊び」 マネは印象派の先駆者である。印象派が得意とした
主題は、この絵のように余暇を楽しむ人々のようすである。
水平線が無い平面的な構図は日本の版画の影響と言われている。
女性モデルは、モネの妻カミーユ。光を浴びて服の縞模様がゆらめいている。

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②シニャック(1863~1935)
1887年 「コリウール(南フランスの地名)からの眺め」
スーラの影響で、点描画家として知られているシニャックだが、これは初期の作品
なので、まだ彼の特徴の大きな点描になっていない。

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③セザンヌ(1839~1906)
1887年 「Jas de Bouffan 付近の木々と家々」
Jas de Bouffanは、プロヴァンスのセザンヌの家のそば。中央部分は緑と黄色を絵筆で
置いただけ、塗らずに、色のパッチワークのように描かれているため、落葉し、やせ細った
木々が装飾帯のように見える。 (訂正・加筆しました)

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④ゴッホ(1853~1890)
1887年 「ひまわり」
咲き終わって落ちた花の頭だけのひまわり。
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1888年 「ルーラン夫人と赤ちゃん」
ゴッホはアルルで、一緒に暮らす予定のゴギャンを待ちながら、近所の郵便配達
ルーラン一家をモデルに何枚も絵を描いた。

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⑤ルノアール(1841~1919)
1892年 「ピアノに向かう2人の娘」
フランス政府から「リュクサンブール美術館」に所蔵するための絵を依頼された
ルノアールが考えた主題は、ピアノに向かう娘たち。ブルジョワの日常生活を描いた
温かみのある絵。フランス政府お買い上げの絵は、現在オルセー美術館にある。
これは、カイユボットの所蔵だった絵。同じ主題のものは、オランジェリー美術館にもある。

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⑥ピカソ(1881~1973)
1903年 「盲人の食事」
寒色系ブルーの濃淡で表された絵。盲人の指にふれるものだけが、暖色系オレンジ
色で表されている。光の当たり方もすばらしい。

PicassoDinnerBlind.jpg

⑦アルベール・マルケ(1875~1947)
1906年 「植民地連隊の軍曹」
マルケはフォーヴィスムの画家として知られているが、激しい色調でなく、グレーや
薄い青を基調とした穏やかなものが多い。
海辺の景色が多く肖像画が少ないマルケだが、この絵では、人物よりも軍服のみごとさが
目立っている。

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⑧シャガール(1887~1985)
1911年 「パッシー橋とエッフェル塔」
シャガールはロシア出身のユダヤ人だが、パリが好きでパリで暮らした。
1911年、文明化が進む時代のパリを描いている。奥に橋があり、鉄橋の上を鉄道が
走っている。手前には荷馬車。中央にシャガールの好きなエッフェル塔が配置されている。

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⑨アンリ・マティス(1869~1954)
1923年 「スペイン女性、青のハーモニー」
モデルは真正面を向き、あたかも肖像画のようだ。同じモデルで背景が別の絵や、
服が別のもあるそうだ。

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メトロポリタン美術館のアメリカ絵画 [外国の美術館、博物館]

三菱一号館で、7日から始まる「ワシントン・ナショナルギャラリー展」に、どんな作品が来るの
だろうと、サイトを見に行ったが、まだ、「近日公開予定です」のまま。あと3日なのに。

そういえば、2012年のメトロポリタン美術館の記事が書きかけだったと思い出したので、
遅まきながらアップします。

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威風堂々、ギリシア風の立派な建物。

中庭に面した光がたくさん入る明るいロビーは、Scalpture(彫刻) Garden という名前。
高い位置にある「狩りの女神」であるダイアナの像は、美しいプロポーション。
昔、この2倍の大きさのものがマディソンスクエアガーデンにあり、ニューヨークの風見鶏
だったそう。

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Scalpture Garden の横の通路は、イスラム風のブルーのタイルで装飾されていて、
奥のティファニーのランプとステンドグラスが美しい。

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ステンドグラスの両脇はブドウの木模様で、真ん中は、藤の花模様で日本画の雰囲気。

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アメリカ絵画の部屋は、いくつもあるが、中でも、目立っていたのは、
「デラウェア川を渡るワシントン」という6m50㎝の巨大な絵。アメリカの歴史の原点
なのだろう。

アメリカを代表する肖像画家といえば、ジョン・シンガー・サージェント(1856~1925)
流麗なタッチで、実際以上に美しく描くと評判だった。
サージェントは父がアメリカ人医師。イタリアで生まれ、パリで美術教育を受け、
代表作「マダムX」をサロンに出品したが、品がないと酷評を受けたため、ロンドンに
移住した。後年は、毎年、アメリカを訪問、ボストン美術館の天井画を制作した。

「Mrs.Hugh Hammersley」(1892) モデルはロンドンの銀行家夫人29歳。
フランスふうのソファーに座り、エレガントな雰囲気。ドレスの生地ベルベットの光沢表現
がすばらしい。この絵の評判で、ロンドンでサージェントに肖像画を頼む人がふえた。

「ウィンダム姉妹」(1899) 上流階級の3姉妹。3人共が嫁いだ後、実家で描かれた。
後ろに見えるのは、ジョン・フレデリック・ワッツによる彼女たちの母の肖像画。
3姉妹の花のようなドレス、白い花が優雅さを強調している。

Sergent.jpgSergen3tSisters.jpg

「日傘をさす2人の女性」(1888)
サージェントは1885年からジヴェルニーのモネの家を度々訪れ、印象派っぽい風景
を描いた。これはイギリスのバークシャー地方の田舎で描いたモネふうの絵だが未完。

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サージェントとちょっと違うけど、、と目を留めたのは、この絵。
ロバート・ヘンリ(1865~1929) 「仮面舞踏会のドレス」(1911)
ロバート・ヘンリは、街の情景や人物を描き、市民生活に密着した新しい写実絵画を提唱、
20世紀初期のアメリカ画壇の指導的地位にあった。ホッパーやデーヴィスを育てた。

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アメリカを代表する印象派の画家メアリー・カサット(1844~1926)
(その生い立ちや画業は、yk2さんのカサット記事に詳しく書かれています。)

メアリーは、1890年からは、甥や姪などをモデルに子供を題材にした絵を描く。
母と子(昼寝から起きた子)(1899)
美しい装いの母が子供の足を拭いている。ブルーの瞳でブロンドのJulesは、しばしば、
カサットのモデルになっている。色彩豊かで、型にとらわれない自由な空間構成の絵。

母と子(楕円の鏡)(1899)
ルネッサンス絵画の聖母子のような構図。鏡の楕円形が子供の頭の上の天使の光輪と
関係づけることができる。カサットの絵の先輩ドガは、ルネッサンス絵画のようだと認め
ながらも、「きみの良い資質と悪い点が出てる絵。子供のイエスと英国人の乳母のようだ」
と語った。

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「縫物をする若い母」(1910)
母の膝に寄りかかって、縫物の邪魔をしないようにしている子供。
でも、母は子供が気になるので、ちらっと子供を見ては、縫物を続ける。

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「別荘の庭でかぎ針編みをするリディア」(1880)
カサット一家はパリ郊外の別荘で夏を過ごしていた。姉リディアは、美しく
着飾って、かぎ針編みにいそしんでいる。屋外での制作に関心が薄かった
カサットだが、リディアの白い大きな帽子に、まぶしい夏の太陽がさしている。

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ウィンスロー・ホーマー(1836~1910)
身の回りの生活や風景を得意とした。人々が海辺で楽しんでいる絵が多い。
「Eagle Head,(満ち潮)、マサチューセッツ州」
満ち潮の大波で濡れたスカートを絞っている女の子。犬がかわいい。

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エドワード・ホッパー(1882~1967)
単純化された構図と色彩でアメリカンライフを描いた。
灯台や郊外の景色の絵が多い。

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次回は、印象派の絵を紹介します。


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ゲティ美術館(2) [外国の美術館、博物館]

ゲティ美術館で見た絵の続きです。

ゲティ美術館は、資金が潤沢なので、13世紀末から19世紀までのヨーロッパ絵画
の超一流のものを金に糸目をつけず、毎年、オークションで購入している。

ラファエロ(または弟子)の「赤い服を着た若い男の肖像」 1505年
この絵は、西洋美術館の「ラファエロ展」に来ていた。
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巨匠レンブラントの「エウロペの誘拐」1632年
ギリシア神話。エウロペに一目惚れしたゼウスは、エウロペが遊んでる海岸に
美しい雄牛の姿になって現れ、雄牛にまたがったエウロペを乗せ、海の中を走り
クレタ島に行き結婚した。

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同じくレンブラントの「笑う自画像」1628年。
レンブラントの初期の注目すべき作品。銅版に描いていてI-Padくらいの小ささ。

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レンブラントは5点、ルーベンスもあった。

神々しく輝く厳粛な絵。
近づいて見たら、グイド・レーニの「棘の冠のキリスト」1636年
グイド・レーニはカポディモンテ美術館展で見た「アタランテとヒッポメネス」が
良かったので名前を覚えた画家。

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ヴェニスの絵を見ると、「カナレット」と思うが、これもそうだった。
カナレット「ヴェニスの大運河 from Flangini to Campo San Marcuola」1738年
すぐそばに、ほぼ同じ大きさのフランチェスコ・グァルディの「ヴェニスの大運河」が
架けられていたのが、競作のようで面白いと思った。

6Canalette.jpg


小さい絵だが、こちらを向くバラ色の頬の少女が気になって足をとめたのが、
オランダの風俗画に影響を受けたフランスのグルーズの「洗濯女」1761年
劇の一場面のようだが、250年前の絵。

5Greze.jpg 

一昨年、三菱一号館で「シャルダン展」があったので、おなじみになったシャルダン。
台所を題材とした絵は、「テーブルの上の魚、野菜、グジュエールチーズ、ポット、
薬味入れ」1769年。
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ここからは19世紀の絵

スペインのゴヤ「サンティアゴ公爵夫人の肖像」 1804年
左手に閉じた扇を持ち、スペインの民族衣装マハを着た公爵夫人はかなり奔放な人で、
このとき40歳。43歳で亡くなった。遠景の景色の筆使いは、さくっと速い。

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ドイツ、ロマン派の代表、フリードリッヒ「夕闇の中の散歩」 1803年
フリードリッヒの描く風景画は、この絵のように暗く神秘的かつ内省的。
険しい雪山、谷、風に揺れる木々を描くことが多い。人がいる場合はひとりだけ。
人はシルエットで顔が見える絵はない。崇高な感じすらして私は好きだ。

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イギリスの風景画家ターナーの「モダン・ローマ、カンポ・ヴァチーノ」 1839年
カンポ・ヴァチーノは牛の放牧場だが、古代ローマのコロッセウム、凱旋門、大浴場がある。
陽が沈み、月がでてきた時刻、ヴェールに包まれたような靄った景色だが、月明かりがまばゆい。
手前に牛や人々が描かれている。
描かれてから初めて市場に出、ターナー作品最高値の40億円でゲティが入手した。

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フランスの風景画家コローの「湖に舟人がいる風景」1839年
フランスのサロンに出展し好評を博した絵。「コローは厳粛で思索的な人だが、
自然を見つめる態度に人柄が表れている。線と黄昏の光のハーモニーがすばらしい」
と評された。

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色づかいの鮮やかさと、きりっとした風格のある絵で目に飛び込んできたのは、
フランス・新古典主義のダビッドの「テレマコスとEucharisの別れ」 1818年。
ホーマーの小説「オデュッセイア」の登場人物を描いた絵。
オデュッセイウスの息子テレマコスはニンフのEucharisと恋人どうしになるが、
彼女を残し、父を捜しに旅だたなければならない。その別れの場面。

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ドラクロワ「浅瀬を渡るモロッコの騎手」1850年
馬の速い動きをみごとに描いた絵。
ドラクロワは当時の画家たちのようにイタリアに行かず、北アフリカに旅した。
灼熱の太陽と強烈な色彩に惹かれ、モロッコやアルジェリアを題材にした絵も多い。

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愛らしさに見入ってしまう明るい画面は、ブークローの「エロスの誘惑に抗する娘」
1880年。キューピッドは恋の矢を娘の心に向かって投げようとし、娘は、困っている
ふうではなく。。。清々しさのある絵。

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ゲティの庭には、いくつも彫刻が置かれている。
手前はマグリットのの「?」、
下の写真は、ヘンリームーアの「座る女」、向こうに見える建物もゲティセンター。

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ジェコメッティ、ジャコモ・マンズーなど一目でわかるものの他に現代彫刻もあった。
広大な空間、山に囲まれた青空の下に彫刻たちはとても自然に配置され、景色の
一部のようになっていた。


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