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思い出の「ビュールレ・コレクション展」 [展覧会(洋画)]

もう終わってしまった展覧会ですが、良い絵がたくさんあったので、思い出として
記事にしておきます。


行ったのは会期末が近い5月の連休。混んでいるかと思ったら、すいていて拍子抜け。
「絵画史上最強の美少女」というキャッチコピーのルノワールの「可愛いイレーヌ」
の前には、人だかりがしていたが、その他の絵は、らくに見れた。
イレーヌ嬢はかわいいし、髪の毛の一本一本までが丁寧に描かれているが、ルノワールの
肖像画では、「マドモワゼル・ルグラン」(フィラデルフィア美術館&バーンズコレクション)、
「ジャンヌ・デュラン・リュエル」(バーンズコレクション)の方がかわいいと思う。
BuhrleCollection.jpg


1、入ってすぐは、肖像画だった。
やはり、アングルは肖像画の名手と再確認。

古典的な画風の上品な静けさから人物が語りかけてくる。
レースやビロードなどをふんだんにあしらった衣装がすばらしい。
「イポリット=フランソワ・ドゥヴィレの肖像」1811年

Ingret1のコピー.jpg


「アングル夫人の肖像」1814年
手や衣服がアングルにしては、やや粗い筆遣いなので、未完とも言われている。


Ingret2のコピー.jpg


●ルノワール「シスレーの肖像」1864年
若い頃、裕福だった時代のシスレー。貧しかったルノワールを助けるために肖像画を
依頼したのだろうか。


Renoir_Sislerのコピー.jpg


●ファンタン=ラトゥールの「パレットを持つ自画像」1861年
ラトゥールの落ち着いた肖像画が好きなだけに、びっくり、がっかり。
自分の欠点をこんなに露わにして書かなくても、、と思ってしまう。


クールベの「彫刻家ルブッフの肖像」1863年
クールベらしい骨太の表情。

●ドガ「ピアノの前に立つカミュ夫人」1869年
夜の部屋、譜面が広げられたピアノの前に立つ夫人。大きな絵。



2、つぎの部屋は「ヨーロッパの都市」というタイトル。
●カナレットの「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア」1738~42年
ヴェネツィアに行ったことのある人なら、「あ~、この景色!」って思うだろう。
もうすぐ300年が経つというのに、変わらぬ景色。サンマルコ大聖堂よりも、はるか向こうに
サンマルコが見えるこちらからの景色の方が好きだ。建物、ゴンドラ、人々が実に細かく
描かれている。波立つ青々とした海、淡いブルーの広い空に清々しさを感じる。


Canaretのコピー.jpg

●シニャックが描いた「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂」1905年 がすぐ傍に
展示されていたが、さざ波が大きめの点描で描かれ、光あふれるようすが、人工的に見え、
私はカナレットの方が好きだった。


モネの「ウォータールー橋」もあったが、

●マティスの「雪のサン=ミシェル橋、パリ」1897年

マティス初期(28歳)の写実的作品

Matisseのコピー.jpg


3、19世紀フランス絵画
●コロー「読書する少女」1845年

静かな雰囲気の中、少女の赤い服がぱっと人目をひく。
●ドラクロワ「モロッコのスルタン」1862年
ドラクロワは、フランス使節団のモロッコ訪問を絵で記録するために随行した。
それゆえ、モロッコを題材にした絵がいくつもある。


●シャバンヌ 「コンコルディア習作」1859年
コンコルディアは古代ローマの相互理解、調和の女神。ギリシア神話のハーモニーに対応する。
額縁が豊穣を意味するのか、果物の彫刻で飾られたかなり仰々しいものだった。
かなり初期の作品。習作のため細部がはっきりしないが、水辺あり、丘あり、森あり、狩の獲物
ありと、理想郷に近い場所に大勢の人物が描きこまれていた。

●マネ「オリエンタル風の衣装をまとった若い女」1871年
白い透ける衣装を身にまとったうつろな表情の女性。娼婦なのだろう。
好きな絵ではないが気になった。

●マネ「燕」1873年
草の上の昼食を思い出すような草原に女性が2人。燕はどこ?と探したら、かなりの低空飛行。


4、印象派の風景

●ピサロ「ルーヴェシエンヌの雪道」1870年頃
雪の降ったあとの光景。向こうの方にピンク色の陽がさし明るくなっていて、道にも
反射している。まっすぐに伸びた木々によって、視線が遠くへ、奥へと導かれる。
pisaro TheRoad under Sonw.jpg


●シスレー「ハンプトンコートのレガッタ」1874年
「このシスレー、いつもと違う!」って思ったのも当然。イギリスに4か月滞在した時、
描いたの作品。レガッタのボートが浮かぶ水面はたっぷりの水。そこに光が降り注ぎ、
キラキラしている。イギリスでの風景。

●マネ「ベルビュの庭の隅」1880年
洋館の前の赤い花咲く庭にすわる女性。印象派のような絵。モネ?と思ってしまった。
●モネ「ジヴェルニーのモネの庭」1895年
色とりどりのバラの花が咲き乱れる庭を愛でる義理の娘シュザンヌ・オシュデ。


5、印象派の人物画
●ドガ「リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち」1871年頃
この絵は、セザンヌの「赤いチョッキの少年」と共に盗難にあったが、無事、返ってきた。
大胆で素早い筆さばき。2人の伯爵令嬢の顔は見たまんまで描かれている。

●ルノワール「泉」1906年

アングルの「泉」を意識しての作品だろう。少女の顔が美しい。


6、セザンヌ
セザンヌ作品が6点。絵の変遷を見てとれる。
「聖アントニウスの誘惑」 1870年 暗い画面の宗教画
「風景」お馴染みサント・ヴィクトワール山、セザンヌ夫人、パレットを持つ自画像。
「庭師ヴァリエ」1904年 キュビズムが入っていて面白い。


7、ゴッホ
ゴッホも6点。
「日没を背に種まく人」1888年
BuhrleGogh.jpg
ミレーの同名の作品の模写から発展させたもの。浮世絵の影響が大きい作品。
以前、国立新美の「新印象派展」でクレーラー・ミューラー美術館の少し構図が
違う同名のものを見ている。


●ゴッホ「花咲くマロニエの枝」1890年
背景は、青いクルクルだが、画面からあふれるほどに咲きほこるマロニエの花。
生命力にあふれる花とうねうねっとした葉っぱ。


8、20世紀のフランス絵画
●ゴーギャン「ひじ掛け椅子の上のひまわり」 1901年
ゴッホと決別したゴーギャンだが、後に、亡くなったゴッホを思い出して描いたのだろう。
「悪かった」という気持ちが託されているのでは。

●ボナールが2点、ヴュイヤールも2点の展示


9、モダン・アート
フォーブの作家、ヴラマンク、アンドレ・ドラン、ブラック3点、ピカソ2点。
●ブラック「ヴァイオリニスト」 1912年 どこにも人間らしいものは見えない。ヴァイオリンの4本の弦と
穴 f は下の方にあるとわかったけれど、あとは、、、卵型の構図と色合いがいいなと思った。
●アンドレ・ドラン「室内の情景(テーブル)」 1904年頃
実に大胆。テーブルと椅子のある部屋を斜め上から見て描いている。
強い色。黒が強調されている。

AndreDolanのコピー.jpg


●ピカソ「イタリアの女」 1917年
シンプルでかわいくていいなと思った。バッグを持ってお出かけかしら。

Picassoのコピー.jpg


最後はモネの「睡蓮の池」1920~1926年の大作だった。



一点、一点、良い絵が揃っていました。
ビュールレのコレクターとしての目の高さが伺えます。
学生時代から美術史と美術品が好きだったビュールレは、武器商人として財を成し、
コレクターとなります。しかし、ビュールレの集めた作品は、ナチスに没収され、
戦後、裁判になったりもしました。
ビュールレは、個人の邸宅を美術館にしていたのですが、大切な作品4点が盗難に
あったことから、セキュリティをきちんとするには個人では限界があると考え、
作品をチューリッヒ美術館に移管することにしました。2020年にビュールレコレクション用
の新館が完成するそうです。


cocoさんがいらした時の記事には、もっとたくさんの絵の写真があります。ご覧になってください。


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yk2

シスレーがルノワールに肖像画の依頼をしたのか、はたまた、ルノワールがお金が無くってモデルが雇えないからシスレーにモデルになって貰ったのか。二択問題なら僕が想像するに後者かな~(笑)。

ところで、僕がアングルが大好きだってことを相当割り引いたとしても、『イポリット=フランソワ・ドゥヴィレの肖像』はここに展示してあった肖像画の中では群を抜いて素晴らしい作品でしたね。観られて良かった(^^。
一方亡くなった奥様の絵は顔以外は筆跡が残っていて、陶器の様につるりとした画面を良しとする新古典主義派の流儀から云えば完成品としては許されないものでしょうけど、アングル自身は亡夫人の顔さえ納得して描けていれば、それ以上は加筆する必要がない、もしくは、センチメンタルな理由から加筆したくなくなってしまったのかも、なんてついつい勝手に想像をしてしまいます。
by yk2 (2018-05-19 12:38) 

Inatimy

やっぱりチラシにはルノワールか、セザンヌか、モネですね^^;。 
ゴッホの「花咲くマロニエの枝」もキレイなんだけどなぁ。 盗難にあった絵ですよね。
無事でよかったです。
ゴッホの絵に「ゴーギャンの肘掛け椅子」というのがあって、壁のランプと椅子の上のキャンドルの光のある絵。 1888年に描かれたものでゴーギャンと一緒に住んでる時で別れる前だから、この絵のこと、ゴーギャンは知っていただろうし、それもあって「ひじ掛け椅子の上のひまわり」を描いたのかしら・・・なんて思いました。
by Inatimy (2018-05-20 07:23) 

ふにゃいの

私はスタート時に行きましたが、
結構混んでました。
ヴラマンクが好きなので、1枚でも見られてよかったです。
あとは、やっぱりモネとゴッホがやっぱりよかったかな~。
ゴーギャンの「ひじ掛け椅子の上のひまわり」は
昨年もみたので懐かしかったです。
by ふにゃいの (2018-05-20 21:21) 

moz

ビュールレコレクション、一同に見られるのはこれが最後になりそうですよね。それだけでも価値はあるけれど、友達と見に行きましたが、どれもとても良い絵で、収集家の目の確かさを感じた展覧会でした。
コローも良かったしマチスも良かったなと b^^
そして、イレーヌ嬢は本当に可愛かったと思います ^^
by moz (2018-05-22 06:50) 

コザック

こんばんは。
Taekoさんの解説を読んでいると自分が賢くなった気分になりますね(^^)
コレクターの美術展って本人の作品や画家に対する想いが伝わってきてなんとなく観ていて楽しいです☆
セザンヌとゴッホの部屋があったのはびっくりでした。こういう思い入れが伝わりますよね。
チューリッヒに行ってしまうということで、日本に立ち寄ってくれてよかったなと思う展覧会でしたね(^_-)-☆
by コザック (2018-05-23 00:52) 

coco030705

こんばんは。コメント遅くなりました。
これはとてもいい展覧会でした。日本初公開の絵がたくさんあって、
ピュールレコレクションが、日本で観られるのが最後とのことですね。
とても満足感のある展覧会だったと思います。
ピュールレ氏の鑑識眼の高さを感じました。こういう人がいればこそ、後世に名画が残るのでしょうね。

by coco030705 (2018-05-25 19:00) 

TaekoLovesParis

cocoさん、東京にいらした時にご覧になったビュールレ・コレクションでしたね。九州、名古屋と巡回するけれど、大阪は無しなんですね。
写真がたくさん載っていて、わかりやすいから、リンクをつけさせてくださいね。
by TaekoLovesParis (2018-05-26 11:14) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。リンクを付けていただき、光栄です!
私は解説が書けなくて、感想しか書いていないので、Taekoさんの記事をお待ちしてました。色々なことがわかって楽しかったです。有難うございました。
by coco030705 (2018-05-26 18:21) 

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